写真展での展示、お部屋のインテリアなどにも活用できるスチレン(発砲)ボードを使った写真パネルの制作方法と必要道具をまとめてみました。
写真展示の方法には、スチレンボードを用いたパネルの他にも、木製パネル、額装、アルミ複合板ボード貼り、ブックマット等多様な方法に加え、業者に出すか自作してしまうかなど多くの選択肢があります。
どの方法にしても一長一短ありますが、展示を行うことで自身の写真・作品の価値や愛着が一層増すことには変わりありません。中でもスチレンボードを使った写真パネルは安く、軽く、短時間で制作できる等多くの利点があります。
スチレンボード写真パネルの特徴
良い点
・写真+パネルの重量が軽い
・安価に制作できる
・手軽に制作できる
・写真を前面に出した展示が可能
気を付ける点
・パネルが反ってくる
(スチレンボードは厚さがあり、両面に上質紙が貼ってあるものが反りにくいとされています)
・破損しやすい(特に四角)
・写真が傷ついたり、汚れたりする
準備する道具
特にプロ仕様の道具が必要というわけではなく、一般の文具店、ホームセンターで入手できます。
下に必要準備品をまとめています。当サイトでも一部の準備道具を次のリンクで扱っています。
1. 写真作品
・後工程でカットするため、白フチのある写真プリントの方がカットしやすかったするので、慣れないうちはフチあり
プリント設定で印刷した写真を使うのも手。
・程々に厚みのある写真プリント(250gsm以上の用紙)の方がシワや気泡が入りずらく綺麗にマウントできます。
・光沢、半光沢、微粒面光沢どれでも良いですが、作品の雰囲気に合わせたお好みの面質の写真用紙を選択。
2. スチレンボード
・スチレンボードには、➀糊無・ボードのみ、➁糊付・ボードのみ、➂糊無・ボード+上質紙、➃糊付・ボード+上質
紙という風に様々なタイプのボードに加えて、厚み(1mm~10mm)、大きさ(A4,A3..)、コアの色(白か黒)など多く
の選択肢があります。
・一般的に、写真の貼付けには5mmか7mmのボードを使うことが多いようです。
・コアの両面を上質紙張りしているタイプのボードの方が、剃りにくいとされています。
・糊無ボードを使って、写真貼付けを行う場合、別途スプレー糊などを準備する必要があります。
・本レッスンでは、糊付・ボード+上質紙、厚み:5㎜、大きさ:A4、コア色:白のアルテハイパープロタックSを
使用しています。
3. カッター
・オルファの黒刃がおススメ(切れ過ぎて怖いぐらい)
その中でもオルファリミテッドNL Ltd-07であれば、刃を出した後、ねじで刃の固定ができるがミソ。
一つ購入しておけばずっと使える愛着の湧くカッターになります。
・カッターの切れ味は大事です。
パネルのカットは、写真プリントに加え、ボード(糊シート、上質紙、発砲ボード、上質紙層)を合わせた
結構な厚みをカットするため、切れ味が悪いカッターであれば上手く切れず、糊付きパネルの側面がギザギザになっ
たりします。
4. カッターマット
・カッターと同じくオルファ押し。
オルファーのカッターマットはA4~A1サイズまで様々ありますが、写真プリントのカットということであれば
A2サイズ用のマットを購入しておけば大体の写真はカットできます。
・キャノン、エプソンから発売されているプロラインの自宅用プリンタの殆どのモデルがA3ノビサイズのプリント
までの対応となっています。
(自宅プリンタで一番広幅のプリントができるエプソンPX-5002であってもA2サイズまで)
ラボや業者を除く個人であれば、A2(420x594mm)より大きいサイズの写真をカットする事はそうそうありません。
A2サイズがカットできるカッターマットを持っておけばほぼ事足りると考えます。
5. 直尺定規
・カット途中に定規が滑って写真もパネルも台無しにしてしまったという経験は皆一度はあるのではないでしょうか。
押さえたときになるべく均一で広範囲に力がひろがるように幅の広い定規であったり、裏にスベリ止めがついている
ような定規が必要です。
・私のおススメはシンワ測定のアルミ直尺アル助 60cmです(下図)
背面にスポンジのスベリ止め、カッターの危険防止壁を備えており、長辺、短辺共にA2サイズは問題なくカット
できる事はもちろん、定規の実質サイズは610mm程になりますので、24″(610mm)ロールプリンタの出力物であっ
てもカットできる長さになります。
6. 綿手袋
・必須ではありませんが、作業の際に写真を直接手で触って指紋などを付けないために使います。
慣れれば無くとも、写真には触れずにカットできますが念のため。
7. 紙
・コピー用紙や新聞紙など。
写真に直接定規をあてて傷つけないために使います。
道具が準備できれば、いよいよ実際のパネル作成です。
手順1. 糊シートの一部をカットし、写真をパネルにマウント
写真をはりつける位置を決め、その中央にあたる部分の糊シートの剥離紙のみを数cm幅でカットします。
剥離紙のみのカットなのでパネルまで傷つけないよう、力を加減して行います。
(パネルを含めて深くカットしてしまった場合、写真をマウントした後、透けてカット跡が浮き出るように
見えてしまう事がありますので、できるだけ剥離紙のみカットするように心掛けます。)
中心に写真をマウントします。
手順2. 写真と定規の間に紙を敷く
パネルをカットする際、定規が写真に触れることで汚したり、傷つける恐れがありますので、定規と写真との間に
薄い紙を挟むことで直接の接触を避けます。
手順3. 数回に分けてカットを行う
作品の見栄えに一番関わってくるのがこのカット作業。
まず表面に軽く刃の道筋をつくり、その後、数回刃を通してパネルをカットしていきます。特に最初に刃をいれるときは力を入れずゆっくり丁寧に。その後はそのラインに沿って同じ角度で刃を入れます。
良いカッターを使っていれば、切断面も美しく処理できます。切断面がどうしてもデコボコになってしまう場合は、自身の腕より、まずカッターを疑いましょう。
手順4. 写真をパネル全面へくっつける
上下左右の4辺のカットが終われば、パネルに残っている糊シート剥離紙を剥がします。
それから、写真を中央から外側へと貼付けていきますが、その際、途中空気が入ったり写真が折り曲がらないように気をつけます。
最後に、作品写真パネルの完成!
如何でしょうか?何度か練習をすれば、誰でも美しいパネルを制作できるようになると思います。
また、展示作業が完了するまでパネルの取扱いには注意しなければなりません。パネルを移動、搬入する途中で、ぶつけたり、落としたりすることで角がへこんでしまう事がよくありますので、パネルの四角の保護には特に注意が必要です。
動画でも確認
以下のYoutube動画では、糊シート付きのスチレンボードではなく、スプレー糊を使った糊無スチレンボード
へのマウントの手順が紹介されています。海外の動画ですが大まかなイメージは掴んで頂けると思います。
カッターの切れ味にはかなり注意を払っており、ある一定の回数切ったら刃を交換するか決めているようです。